拡大中東・北アフリカ構想財務大臣会合<モロッコ・ラバト>に出席
(12月11日)

 拡大中東・北アフリカ構想・「未来のためのフォーラム」(Broader Middle East and North Africa "Forum for the Future")が、モロッコ王国の首都ラバトで開催され、日本政府からは上田いさむ財務副大臣、逢沢一郎外務副大臣ほか政府関係者が出席しました。
 このフォーラムは、6月のシーアイランド・サミットにおいて合意された「拡大中東・北アフリカ・パートナーシップ」を進めるための議論の場として設置されたもので、今回が第1回の会合となりました。

 モロッコとアメリカが共同議長となり、拡大中東・北アフリカ地域及びG8諸国など計30カ国の外務大臣、財務大臣のほか、各種国際機関の代表者が招かれました。
 会議は、はじめに全体会議が開催された後、外務大臣会合と財務大臣会合が別々に行われ、同地域における民主主義及び市民社会の参加の強化、中小企業の育成や職業研修による経済開発の促進などのテーマについて議論されました。

 米国から、パウエル国務長官、スノー財務長官が出席したほか、サイモン外務担当国務大臣(イギリス)、フィッシャー外務大臣(ドイツ)、ペティグルー外務大臣(フランス)、クドリン財務大臣(ロシア)などが出席しました。
 また、地域内各国からは外務、財務担当の閣僚などが出席しました。

 なお、このフォーラムの内容については、12日付の読売・朝日・日経・毎日の各紙で報道されました。


◎日程と議題

9:00〜10:30【開会式及び全体会議】
  • 同議長による開会の辞…ベナイッサ・モロッコ外務・協力大臣、パウエル米国務長官、ウアルラー・モロッコ財政・民営化大臣、スノー米財務長官
  • EU,トルコ、パキスタンなどの代表が挨拶
  • 議題の承認
  • 各国代表などによる発言
    (ドイツ、エジプト、イタリア、リビア、フランス、サウジアラビアなど)
  • 市民社会の代表、経済界の代表から発言

10:40〜13:30【外務大臣会合及び財務大臣会会合】
※別々に行われ、上田いさむは財務大臣会合に出席
■外務大臣会合
・ 民主化支援対話
・ 識字率向上計画
・ 起業支援と職業訓練
・ 投資タスクフォース
・ 討論およびまとめ
■財務大臣会合
・ 国際金融公社(IFC)の基金
・ 基金ネットワーク
・ 零細金融支援
・ 送金問題
・ 討論及びまとめ

◎議論の内容

 外務大臣会合、財務大臣会合は、それぞれのテーマについてあらかじめ決めておいた代表が発言を行い、それらを受けて各国が討論の部分で発言する形で進められました。
 上田いさむは、財務大臣会合の討論の部分で、大要以下の通り発言しました。
  1. 中東・北アフリカの経済成長と雇用創出のためには、ビジネス・投資環境の改善や中小企業の育成が重要。特に、若年層への雇用機会の確保が重要。

  2. 先般、IFCに目標額1億ドルの「中東・北アフリカパートナーシップ基金」が正式に設置されたことは歓迎。日本は、既に1,000万ドルの拠出を表明している。同基金による技術支援が着実に実施されることが望まれる。

  3. 結果重視の視点から、この基金が地域の投資環境の改善など具体的な成果をもたらすことが重要。

  4. 海外からの送金は、ODAや直接投資と並んで途上国にとって重要な資金源となっている。送金をより効果的なものにするために安定した金融インフラの拡充が重要。
 このほか、財務大臣会合では、さまざまな国際開発機関、地域開発機関からの資金の供給を効率的なものとするため、非公式かつ柔軟に協調・調整を行う基金ネットワークの構築について合意され、今後アラブ通貨基金(AMF)が他機関と調整しながら具体策をつめることとなりました。

 また、外務大臣会合では、日本とヨルダンの共催による職業訓練ワークショップの開催(20005年秋)について提案され、参加国から歓迎されました。 次回以降のフォーラムは、2005年11月ころにバーレーン、2006年にヨルダンで開催することが提案されました。

◎所感

 このフォーラムはアメリカが中東・北アフリカ地域との連携を強化する必要性から提唱してはじまったこともあり、アメリカとしてかなり力を入れているのが、国務・財務両長官が揃って出席したことからもわかりました。アメリカとしてアラブ地域の反発にも配慮して、民主化の推進などを押し付けているとの印象を避けるため、地域内諸国の意見を尊重しつつ慎重に対応していました。
 一方、地域内諸国も地域の政治体制や文化の多様性を尊重するべきだと牽制しつつも、アメリカも含めてG8各国との協力の強化に大きな期待を持っているようでした。

 中東・北アフリカは、日本にとってもエネルギーの供給など戦略的にも重要な地域であるだけでなく、この地域の安定と発展がテロなど国際社会にとっての脅威の軽減にも重要だと考えられます。
 これまでの日本の経済発展の経験を生かして、地域の経済の開発に貢献していくことは重要だと感じました。

◎世界遺産の古都フェズを訪問

 会議の翌日、ラバトから自動車で約3時間の距離にある、世界遺産にも指定されている8〜9世紀に造られた古都フェズ市を訪問しました。
 チャベス市長など市の幹部と懇談したほか、都市の保存・再生を担当している技術者の案内で、メディナと呼ばれる城壁で囲まれた密集した旧市街地を視察しました。フェズのメディナは、千年以上の期間にわたり少しずつ拡張されてきたもので、現在も30万人以上の市民がそこで生活しています。
 アラビアの映画でみるような狭隘な道とレンガ造りの建物の光景を目の当たりにできました。

 メディナでは、数百年前に建造された高度な配水システムや歴史的なモスクや神学校を視察し、当時の優れた土木・建築技術に驚かされました。建物に施された細かい幾何学模様の漆喰やタイルの装飾がとても印象的でした。
 また、歴史的な建造物の保存・再生を行っている現場も視察し、関係者の努力に感心しました。

 こうした歴史的な伝統と文化を大切に保存して将来に残していくことの重要性を強く感じました。