予算委員会で、構造計算偽装問題などについて質疑(1月26日)

 26日衆議院予算委員会では、小泉総理はじめ全閣僚が出席しての「平成17年度補正予算案」などに対する基本的質疑が行われ、各党委員から質疑が行われました。上田いさむは、小泉総理、北側国土交通大臣ほかに対して、構造計算偽装問題、雪害対策と財政支援、経済格差拡大、財政健全化と行財政改革、横須賀への原子力空母配備問題などについて質問を行いました。上田いさむは、政府が提出した補正予算案が、景気回復などにともなう税収増の太宗を財政健全化に充てるなど財政規律を重視する一方で、アスベスト対策、災害対策、構造計算偽装問題への対応など国民生活の安全、安心に緊急性を要する事項について必要な予算を計上しており、早急に成立させるべきであると述べた上で、補正予算案の内容や重要な政策問題について質問を行いました。
なお、質疑の様子はNHKテレビで中継されたほか、全国紙や神奈川新聞で報道されています。
 質疑の主要なポイントは、以下のとおりです。
【構造計算偽装問題で安全性に対する不安の払拭を】
 上田いさむは、構造計算偽装問題について、事件の責任は専ら事業者、設計者、施工者にあるとの考えを述べた上で、国と地方自治体の行政責任に対する認識を質しました。また、本件に公費で対応することには賛否両論あるが、特に耐震性の弱い分譲マンションについて住民や近隣の安心のために緊急に支援措置を講じることは適切であると述べ、当該物件のみならず国民はマンションやビルの安全性に不安を感じており、適切に対応するよう求めました。
 これに対して、北側大臣は、問題となっている業者が関係した物件について調査を行っているほか、その他の物件についても相談体制の充実、耐震診断の推進など不安の解消に努めていきたいと答弁しました。
【経済格差の過度な拡大を防げ】
  上田いさむは、今後わが国において経済格差が拡大する方向にあることをジニ係数等のデータを示しながら説明し、過度に格差のある社会や格差が固定化することによって、社会の活力や安定性が損なわれることが懸念されると述べました。また、結果としてある程度格差が生じることは止むを得ないものの、教育・訓練の機会の公平、再チャレンジできる社会システムなど機会の公平性を確保することが重要だと指摘しました。さらに、これまでの所得格差の動向などから、税の累進性や社会保障給付など政府による所得再分配機能の重要性を強調しました。
 これに対して、小泉総理は、現状では必ずしも格差が拡大しているとは認められないとの認識を示しつつも、将来は拡大する要素があるとの見方を示し、概ね同じ意見である旨答弁しました。
【財政再建のビジョンを早急に示すべき】
 上田いさむは、基礎的財政収支が最悪だった平成15年度と18年度予算案の財政指標などを比較しながら(資料1)、財政再建への確かな道筋はできたと政府・与党の取り組みを評価した上で、依然として公債残高が巨額であり、財政再建が緊急の課題であることは変わりがないとの意見を述べました。その上で、財政健全化について、歳出削減や歳入確保の方法や規模について、具体的なビジョンを早急に示すべきであると質しました。また、当面は、行財政改革の徹底により、各府省の事務・事業を洗い直す必要があることを指摘して、公明党が「事業仕分」を提案していることを述べたうえで、行財政改革の実行に当たっては、納税者である国民の意見を取り入れることと、検討のプロセスを透明にする必要があることを指摘しました。
 これに対して谷垣財務大臣は、現在、歳入・歳出一体改革のあり方を検討しているところであり、6月くらいを目途に案を示したいとの考えを述べました。また、中馬行政改革担当大臣は、近々行政改革を検討する有識者会議をスタートする予定であり、指摘された点については十分考慮していきたい旨答弁しました。
資料1
わが国の財政事情の変化
 
平成15年度
平成18年度
伸率(%)
・一般会計歳出(兆円)
81.8
79.7
▲ 2.6
内国債費
内一般歳出
内社会保障関係費
16.8
47.6
19.0
18.8
46.4
20.5
11.7
▲ 2.5
7.9
・一般会計歳入(兆円)
81.8
79.7
▲ 2.6
内税収・その他収入
内公債発行額
45.3
36.4
49.7
30.0
9.7
▲ 17.6
・基礎的財政収支(兆円)
・財政収支のGDP比(%)
・公債残高(兆円)
・公債残高のGDP比(%)
19.6
▲ 7.8
457.0
92.6
11.2
▲ 5.6
541.8
105.4
▲ 42.9

18.6

(財務省資料等から作成、当初予算ベース)

【米軍原子力空母の安全性確保を】
 上田いさむは、横須賀市への米軍原子力空母配備計画について、空母の配備が日米安保体制における抑止力として重要であることは理解するとした上で、原子力艦船の配備に当たって地元自治体、市民が安全性に懸念を抱いていることを指摘しました。報道されている過去の米軍原子力艦船の事故等を示しながら(資料2)、原因が究明され、再発防止策が講じられていることを確認する必要性を訴えました。
 それに対して、麻生外務大臣は、地元が安全性について心配するのは当然のことであるとの考えを示した上で、いずれの事故等についても原子炉とは無関係のものまたは造船所やドック内で発生しているものであり、国内では修繕等を行わないことから安全性については問題がないと述べました。さらに、米国とも協力して安全性の確保に万全を尽くすと答弁しました。
資料2
米軍原子力艦船に係る事故等(1980年以降)

1980年


1982年

1983年


1989年

1990年

1992年

1994年

1995年


1996年

1997年

1999年

2000年

巡洋艦ロングビーチ、高放射能検出
潜水艦ホークヒル、造船所で冷却水漏れ(5人汚染、2人内部被爆)

潜水艦サム・ヒューストン、造船所で冷却水漏れ(1人汚染)

潜水艦サーゴ、冷却水排出時に放射能漏れ
空母エンタープライズ座礁

空母エーブラハム・リンカーン、低放射能冷却水を川に放出

空母ニミッツの4名の乗員が、放射能安全定期点検にごまかしがあると 内部告発

空母エンタープライズ、造船所で放射能を帯びた冷却水漏れ(作業員9人汚染)

空母エンタープライズ、修理中に原子炉火災発生

巡洋艦カリフォルニア、放射能を帯びた水が漏れ(乗員3人汚染)
潜水艦ソルトレークシティー、深酔いした乗員が原子炉を当直監視

巡洋艦アーカンサス、造船所で放射性蒸気漏れ(市民への事故通報に遅れ)

潜水艦ポーツマス、基地で作業員2人被爆

空母ステニス、サンディエゴ港内で座礁、原子炉緊急停止

潜水艦オリンピア、造船所で放射性冷却水漏れ(作業員3人被爆)

(神奈川新聞1月4日記事等から作成)