埼玉県内の伝統的工芸品、素形材産業などを視察

83

私が委員長をつとめる衆議院経済産業委員会では、「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」(伝産法)に基づく経済産業大臣の指定を受けたさいたま市の岩槻人形の産地と川口市内の木型・鋳物など、素形材産業の企業5社の視察を行いました。

 

● 視察先及び内容

 1.さいたま市・岩槻人形

岩槻人形は、江戸時代後期から現在のさいたま市岩槻区周辺で生産されてきた伝統的な工芸品で、ひな人形・五月人形などは全国的に広く知られています。本年3月に伝産法に基づく「伝統的工芸品」として経済産業大臣の指定を受けました。現在、102の企業と約540名の従事者が伝統的産業を担っています。

視察では、岩槻文化公園体育館で、岩槻人形協同組合戸塚理事長ほかから業界の現状と課題などについて説明を受けた後、代表的な職人による岩槻人形や江戸木目込人形の製作実演を見学し、懇談しました。その後、(株)矢作人形を訪問し、人形の製作現場の視察を行いました。

 

埼玉県内の伝統的工芸品、素形材産業などを視察
矢作人形店(岩槻・人形)

 

関係者からは、少子化や生活意識・スタイルの変化にともなう人形の需要減少、熟練職人の後継者確保の難しさなど産地の抱える課題について説明がありました。一方、国内外の新たな需要を開拓するための新素材の開発やデザインの工夫などの取り組みについて報告も聞きました。わが国の歴史と文化に根ざした伝統的工芸品産業の維持・振興は、国の文化を継承していくためにも重要な課題であると感じ、教育との連携による幅広い意識の喚起などの必要性を感じました。

 

 2.川口市・素形材産業

川口市は、鋳物産業などの素形材産業の代表的な集積地であり、世界的な技術水準により日本の製造業の基盤を支えています。最盛時には600社を超えていた中小企業が近年減少を続け、現在は約60社が営業しています。

岡村川口市長のほか機械工業協同組合、鋳物工業協同組合、木型工業協同組合、機械工具商業協同組合の代表者との懇談会を行った後に、以下の5か所の生産現場を視察しました。

 

  • (有)遠山木型製作所
    鋳造用木型・工作機械用木型等
  • デアロイ工業(株)
    超硬切削工具・特殊ドリル等
  • (有)河村鋳造所
    印刷機械部品・ベーゴマ等
  • (株)篠塚製作所
    ダイカストマシン・ダイカスト製品等
  • (株)村田製作所 内燃機関鋳物部品等

 

埼玉県内の伝統的工芸品、素形材産業などを視察
遠山木型製作所(川口・素形材)

 

埼玉県内の伝統的工芸品、素形材産業などを視察
デアロイ工業(川口・素形材)

 

埼玉県内の伝統的工芸品、素形材産業などを視察
河村鋳造所(川口・素形材)

 

埼玉県内の伝統的工芸品、素形材産業などを視察
篠塚製作所(川口・素形材)

 

埼玉県内の伝統的工芸品、素形材産業などを視察
村田製作所(川口・素形材)

 

各企業では、製品や製造工程について詳しい説明を受け、工場内の作業を間近に見学することができました。事業者がそれぞれの企業の持っている技術力が、日本の製造業の土台を支えている自信と誇りを持っていることを強く感じました。また、川口市では関連事業者が同一地域に集積していることが大きなメリットであるとの意見が示されました。

懇談会では、事業者から、経済産業者が定めた取引ガイドラインによって、大企業への納入価格の交渉がかなり改善しているとは評価するものの、原材料価格の高騰を十分に転嫁できない厳しい経営が続いているとの意見が述べられました。また、生産性の高い新設備への更新を促すため減価償却税制の一層の改善、住宅との混住化による環境問題解消のための近隣に新たな工業団地の建設、外国人研修制度の受入れ年限の延長などといった問題について要望が出されました。