延長国会で、公務員制度・社保庁改革法案の成立を期す

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◆内閣不信任案否決、社保庁解体法案・公務員制度改革法案が成立

先週29日深夜の衆院本会議で、民主党など一部野党が提出した安倍内閣不信任決議案が、自民・公明の与党の反対により否決されました。それを受けて、翌30日未明には、終盤国会の懸案であった、社会保険庁の解体・出直しを行う「日本年金機構法案」及び国会公務員制度改革法案が与党等の賛成多数をもって成立しました。

これで、通常国会の大きな山場を越え、今月29日の参院選で国民の審判を仰ぐことになります。この選挙は、日本の未来への責任か無責任かが争点になってきます。未来に責任を持って行財政や社会保障制度の改革に取り組んでいる与党か、場当たり的で無責任なバラマキ政策を主張している民主党等かの選択です。

 

◆抵抗を続けた民主党などの真意は体制維持

民主党など野党は、両法案の審議に最後まで抵抗し続けました。年金記録の管理など社会保険庁の事なかれ主義やずさんの業務の実態が明らかになり、社保庁組織にメスを入れてもっと効率的、意欲的な組織に改革していかなければ、本源的な問題の解決はできないことがはっきりしました。野党は、年金記録問題への対応が先決で、組織改変論議はその後に回すべきだと主張しています。一件尤もらしく聞こえますが、核心の問題を先送りし、年金資金を食い物にしてきた官僚と馴れ合いの公務員労働組合の権益を守る言い分でしかありません。

公務員制度改革についても強硬に抵抗し、民主党の参院内閣委員長は審議を進めることさえ妨害しました。政府・与党案では、“天下り”問題が根絶されないと批判するだけで、現実的な対案は示されていません。できそうにない理想論を振りかざして、結局は与党が着実に進めている改革の流れを阻止しようとしている意図が見え見えです。

 

◆株主総会シーズン・買収防衛策の功罪を考えよう

先週開催された大手企業の株主総会では、新たに買収防衛策を導入する議案の提出が目立ちました。海外の投資ファンド等が経営の支配・介入に意欲を示していることに対抗しようとするもので、ほとんどのケースでは株主の多数支持が得られました。

会社は、株主の利益のみを優先するのではなく、従業員や取引先も重要なステークホルダーであることから、資本の論理に徹したM&Aが必ずしも好ましくありません。特に、ファンドの場合は短期的な利益に偏重する傾向が強く、企業の中長期的な成長戦略と対立する場合も少なくありません。その意味から、経営の自由度を確保して、一般の投資家やさまざまなステークホルダーの利益を守るために適切な防衛策を講じることには賛成です。

しかし、不必要・不透明な防衛策は、ガバナンスに対する監視機能を低下させて、効率的な経営の足を引っ張る場合もあります。また、多くの大手企業が過剰な防衛策を導入すると、国の内外の投資家から、日本企業一般が閉鎖的で、将来の成長が期待できないと判断されかねません。個々の企業にとっては合理的な判断でも、日本経済全体にとって大きなマイナスとなる合成の誤謬に陥ることになります。わが国の経済の将来を考えると、自由でオープンなシステムであると認められる必要があります。経営者には、将来の日本の経済システムのあるべき姿を視野に入れた広角的な経営判断を期待します。