北京・東京フォーラムで日中有識者と意見交換

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8月27~29日、中国北京市内の崑崘ホテルで開催された、中国日報(Daily China)・北京大学・言論NPO共催の「第3回北京・東京フォーラム」に参加し、日中両国の政治、学界、マスコミ、経済関係者らと幅広い課題について意見交換を行いました。同フォーラムは、日中政治関係が悪化していた2005年8月に第1回会議が北京で開催されて以来、毎年この時期の北京と東京で交互に開催されています。第2回会議は自民党総裁選直前に開かれ、安倍官房長官(当時)が基調講演を行い、総理就任後の電撃的な訪中による関係改善の伏線になったとも言われています。

今回、このフォーラムに参加して、日中両国の関係者との親交を深めるとともに、さまざまな問題について率直に意見を交換することができました。短期間ではありましたが、とても有意義なものになったと感じています。

 

○ 対日感情の改善を実感

今回の訪中では、中国の政府・マスコミが対日関係の改善に相当配慮しており、国民の対日感情が友好的になっていることを強く感じました。また、昨年の安倍総理の就任直後の訪中がとても好意的に受け入れられており、中国側関係者からは安倍改造内閣への期待の声が随所で示されました。

同時期に中国国防相がはじめて訪日していることもあり、安全保障問題についてもこれまでと異なる柔軟性が感じられました。また、中国のマスコミも海外からの報道統制に関する批判に敏感になっており、自由で開放的な内容に改めようとする努力は見受けられました。

 

○ オリンピック開催を控えた北京市内

北京市内は、明年のオリンピックを控えた建設ラッシュで相変わらず至るところで新しい構造物の建設が行われていました。幸いにも滞在中はそれほど空気が汚れている感じはしませんでしたが、排気ガスによる大気汚染がかなり深刻になっているとの話を聞きました。また、市内でも時々断水がおきるなど水不足と水質悪化も相当深刻な問題になっているとのことでした。

最近の日本をはじめ世界各国で問題が提起されている中国製品の安全性や品質の問題についても、かなり神経質になっていることがわかりました。日本などでの報道がことさらこの問題を取り上げて、偏向しているとの苦言もありましたが、一方で品質の確保について官民あげてかなり努力している様子も感じられました。

 

○ フォーラム参加者

今回の会議には、日本側から私のほかに中谷元衆院議員(元防衛庁長官)、岡田克也衆院議員(元民主党代表)ら国会議員5名、武藤敏郎日銀副総裁、福川伸次元通産事務次官、五味広文前金融庁長官、宮本雄二大使など行政関係者、国分良成慶大東アジア研究所長、松本健一麗澤大教授などの学識経験者、今井義典NHK解説主幹、浅海伸夫読売新聞東京本社論説委員長などのマスコミ関係者、小林陽太郎新日中21世紀委員会座長(富士ゼロックス相談役)、安斉隆セブン銀行社長、三木繁光東京UFJ銀行会長など36名がパネリストして参加しました。そのほか、中国駐在・関連の邦人企業関係者など多数が一般参加しました。

中国側からは、孫家正文化部部長、李干傑国家環境保護総局副局長、易綱中国人民銀行頭取補佐、熊光楷元人民解放軍副参謀総長、王英凡全人代外事委員会副主任、趙啓正全政協外事委員会副主任、呉健民外交学院院長、賈慶国北京大国際関係学院副院長、周牧之東京経済大教授、朱霊チャイナデイリー総編集長、銭小竿国務院新聞弁公室副主任、白岩松中央TVキャスターのほか各界の代表者約50名が参加しました。

 

○ 主要日程

第一日

  • 日本側パネリスト打合せ(顔合わせ等)
  • 日中パネリスト打合せ(翌日の会議進行などについて協議)
  • 歓迎夕食会

 

第二日

  • 午前 全体会議:主催者挨拶ならびに来賓等の基調講演(13名)
  • 分科会及びシンポジューム

第1分科会:日中の相互理解とメディアの役割

第2分科会:アジアの安全保障と日中の役割

第3分科会:日中の経済交流と利益互恵

第4分科会:日中の金融システムと通貨政策

第5分科会:地球温暖化と水問題

シンポジューム:日中関係とアジアの未来(於:北京大学)

  • 戴秉国筆頭外務次官主催夕食会

 

第三日

  •  全体会議:基調講演(4名)、各分科会等の報告、共同声明発表など

 

○ シンポジューム:日中関係とアジアの未来

私は、第二日目午後は、北京大学で開かれたシンポジュームにパネラーとして出席しました。シンポジュームでは、日中合わせて10名のパネラーから、各5~10分で問題提起の冒頭発言を行った後に、会場の学生からの質問に答えるという形式で約3時間行われました。

私は、冒頭発言で、公明党が日中国交正常化の時代からさまざまな環境変化の中でも一貫して日中友好関係を大切にしてきたことを説明しました。今日、中国と日本は東アジアで政治・経済に大きな影響力を持つ国であり、日中関係の安定は、アジアの平和と繁栄のために不可欠になっているとの考えを述べ、現在、東アジアの地域内協力の機運が高まっているが、地域の内外に対して自由、公平、開放的なものであることが重要であると述べました。また、日中協力の促進については、両国は異なった個性を持っていることから、すべての分野で競合するのではなく、それぞれの得意分野を生かした相互協力が重要であるとの考えを示しました。具体的には、日本は環境技術、製品の品質管理技術、国際的な規範との調和などの面で一日の長がある一方、中国は、起業家精神や人的ネットワークなどの面で優れており、相互に協力することが必要との考えを述べました。

また、会場からの日本の政党間の対中政策の違いに関する質問に答えて、自民・公明・民主の主要政党においては、基本的な違いはないが、それぞれの政党に所属する議員では考えに幅があることは事実だと述べました。また、リチウム電池など最近の日本製品の品質問題の原因に関する質問に対して、一部製品でそのような品質管理問題が報じられているが全体としては安全性や品質は維持されていると答えた上で、一般に、製品のライフサイクルが短くなっていること、国際競争の激化にともなうコスト削減圧力が高まっていること、部品調達がグローバル化していること、雇用形態の変化による熟練工の減少などが懸念されていると述べました。