時間軸を正しく理解した政策論議が必要

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◆金融サミットで不安解消への国際協調を論議

先週末には米国ワシントンで、主要20カ国・地域(G20)の首脳や国際機関の長が出席しての「金融世界経済に関する首脳会合」が開催されました。世界的な金融危機に対して各国首脳が、金融市場健全化のための規制・監督の強化、即効的な内需刺激策の実施、新興市場国・途上国への資金支援などについて政策協調を図っていくメッセージを発出した意義は大きいと受け止めています。しかし、“百年に一度”とも言われているように世界経済が受けている傷はかなり深く、短期間で克服できるものでなく、各国の息の長い協力と努力が必要です。発表された首脳宣言においても、来年3月末までの当面の措置と中期的措置の両面が盛り込まれています。

世界第二の経済規模と多額の外貨準備を有するわが国には積極的な貢献が期待されています。麻生総理が国際通貨基金(IMF)に対して1,000億ドルを融資する意向を表明したことは評価できます。

 

◆三段階で経済の立て直し、当面は景気対策最優先

内閣・与党が先月末に発表した新たな経済対策「生活対策」では、これからの経済政策のあり方について、①当面は“景気対策”、②中期的には“財政再建”、③中長期的には“改革による経済成長”と三段階で進めていく方針が示されています。これは、時間軸を正しく認識した的確な政策だと考えます。

国際金融危機と世界同時不況に直面している現在、日本経済が取り返しのつかない事態にまで沈没することを避けるために、当面は景気対策を最優先して積極的な政策を打ち出していくことが適切です。景気回復に一定の目処が立った段階で、本格的な高齢社会に対応するとともにそれを支える経済成長を実現するための経済財政政策に切り替えていくことです。

 

◆社会保障費の増大に財源の手当てが必要

麻生総理が「生活対策」を発表した際に、将来の消費税率引き上げを含めた安定財源の確保の必要性について言及したのは、この三段階での経済財政政策のスケジュールに沿って方針を打ち出したものであり、理に適った内容です。

これからの本格的な高齢社会にあっては、社会保障に必要な費用が急速に増大していくのは避けられないことです。これまで財政を健全化するために、医療や介護などの社会保障費の伸びを抑制してきていますが、それでも毎年7千億円以上増加してきました。その間、医療制度の劣化など深刻な問題が顕在化し、これ以上の合理化には限界感が広がってきました。増大する将来の財政需要に責任をもって財源を手当てしなければなりません。

 

◆マスコミの批判は真摯な政策論議を阻害している

麻生総理は、当面は景気対策のために財政健全化の取り組みを逸脱しない範囲で積極的な財政政策を発動する一方で、その間に徹底的な行財政改革を実施し、それでも賄い切れない社会保障費については、区分経理を明確にした上で安定財源を確保する必要がると述べたものです。

しかし、一部のマスコミ等はその時間軸をわざと混同して、理不尽な批判を繰り返しています。減税の前倒しである“定額給付”などの景気刺激策と将来の社会保障に要する恒久的な財源を無理に結びつけています。こうした論調は、将来を見据えた真摯な政策議論が行われることを阻害し、国の未来を誤らせかねないものです。