中国漁船事件への対応で内閣の外交の稚拙振りが露呈

12

「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので、一気に気温が下がってきました。真夏日70日以上という気象観測がはじまって以来の記録的な猛暑でした。まだ、生鮮食品の価格高騰など猛暑の影響が残っています。

 

政府の一貫性のない対応は不可解

尖閣諸島付近で拘束された中国漁船をめぐる事件によって菅内閣の外交の稚拙ぶりが露呈しました。船長の逮捕、拘留期間延長という厳正な対応をとったかと思ったら、いきなり理由も判然としないまま釈放するといった政府の一貫性に欠けた対応は不可解そのものです。外交には舞台裏での交渉はつきもので、公表できない駆引き・取引きがあるのは理解しますので、結論を一方的に非難するつもりはありません。しかし、この件の幕引きや同様の事件の再発防止に関して非公式にでも合意できた様子もありません。これでは、日本は理が通らなくても圧力をかけると屈服するというイメージを内外に伝えただけです。同様な事件が繰返され、その都度右往左往することになることを懸念します。

この間の経緯を見ると、閣僚が基本的な外交方針を共有しておらず、事件が発生した際の内閣の対処プロセスも定まっていないようです。現在の内閣・与党が政権を担当している能力も責任感もまったく感じられません。

 

検察が政治的な判断を下すのは不適切

那覇地検は、今後の日中関係を考慮して船長の釈放を決定したと発表し、内閣も検察独自の判断であるとしていますが、これは極めて不適切だと受け止めています。検察は、どこまでも”法と証拠”にだけ基づいた判断を行うべきであり、そこに外交的・政治的要素を差し挟むことがあってはなりません。もし地検が独断で判断を下したとすれば、検察官の権限を逸脱するものであって、結果的に司法制度の公正・信頼を損なう恐れがあるものと危惧します。内閣が総合的に下した政治決断であったのなら、その趣旨と理由を内外に明確にするべきです。処分の権限や責任の所在を曖昧にしておくと、今後発生するかもしれない国際的な配慮が絡む事件への対応に困難を来たすことになります。

 

中国の拡張主義は地域の不安定材料

中国は、東南アジア諸国との領有権問題でも強硬な態度を貫き、地域の不安を惹起しています。横車を押すかのような拡張指向は、地域の平和と安定を損なう恐れのあるものであり、脅威を感じます。異常ともいえる言動の背景に権力継承などの複雑な国内政治情勢が絡んでいると言われていますが、それを外交関係に持ち出すことは中国の国際社会における信用を失墜させるものであって、長い目で見たときに中国自身の利益にもならないと感じます。また、本件との関連で希土類の禁輸を実施したようですが、WTO等の国際ルールを蔑ろにした暴挙であり、取引相手国の疑心暗鬼を深めています。

中国は政治・経済大国となった今、その立場に相応しい協調性と国際的なルールのコンプライアンスが求められていることを自覚するべきです。