原発見直しでエネルギー需給策の抜本転換が必要に

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原発被害補償スキームの曖昧さ<

先週、内閣・与党では東電の原発事故補償のスキームを公表しました。①被害者への十分な補償、②産業や生活に欠かすことのできない電力の安定供給、③国民負担の最小限化、等々の条件を満たすスキームはとても難しいものと考えます。私もいかなる方法が効率的でかつ国民世論の理解を得られるのかは判断に迷うところです。内閣案でも具体的な点は曖昧にされたままであり、今後の運用次第で成否が分かれるのではないでしょうか。国民の不安を取り除くためにも内閣は具体的な内容を早急に明らかにするべきです。大変困難な政策判断だとは思いますが、それを決断するのが政権を担っている内閣・与党の責務だと言わざるを得ません。

 

長期・広義の国民負担の最小化をめざすべき

先ずは、東電の徹底的な経営合理化を進めることは当然ですが、一部の政治家や評論家があたかもそれが問題の本質であるかのように主張していますが、それだけで解決できるほど簡単な問題ではありません。電力料金引上げ、増税、東電等の株式・債券の値下り等々さまざまな形での国民負担は避けられませんが、長期的に見て、広義の国民負担を最小にすることをめざした冷静な分析・検討を期待します。

 

中長期的にも原発発電量の低下は必至

内閣は、中電浜岡原発の運転停止を要請しました。十分な説明がなく唐突な感はありましたが、原発の安全性に対する不安が払拭できない以上当然の決断であったと評価します。また、現在運転中の原発の安全性についても多角的に点検・検証する必要がありますし、計画中の事業についてもゼロベースでの見直しの必要があると考えます。必然的に、当面は勿論のこと中長期的にも原発の発電量が現計画を大きく下回ることになります。

 

エネルギー需給策の抜本的な転換が必要

内閣は、「エネルギー基本計画」(2010年策定)の全面改訂の考えを示しています。同計画では、温室効果ガスの排出を抑制するために原子力発電を増加させることとしていますが、その見直しは必至です。石油等の化石燃料への切替えには、地政学的なリスク、価格上昇トレンド、環境制約を考えたときに中長期的には限界があります。太陽光・水力等の再生可能エネルギーの普及促進が最も重要ですが、現在の技術面やコスト面での課題を解決するには一定の年月を要しますし、風力や地熱については環境への影響も配慮する必要があります。私は、多くの課題を解決しなければなりませんが、地熱発電の促進とヒートポンプの技術開発に力を入れるのが有望だと考えています。

 

産業構造・生活スタイルの変革が必要

エネルギー供給の増加に努めても計画を下回るのが避けられないことから、需要の見直していく必要があります。エアコン設定温度の変更、LED・蛍光灯照明への転換などでエネルギー消費量抑制策を進めていく必要があります。また、エネルギー多消費型の製造業から、先進技術型や知識集約型の産業構造への転換を誘導して消費量を抑制していかなければなりません。また、ライフスタイルの見直しによる細かな省エネの積重ねも重要です。先ずは、”クールビズ”の普及や”サマータイム”の導入などから着手してはどうでしょうか。