民主党政権の不可解な経済財政政策の転換を!

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補正予算がようやく衆院通過するも執行に課題

先週、震災の復旧・復興経費を計上した第3次補正予算案が可決されました。震災発生から8か月が経過しており、復興構想会議の五百旗頭議長が「率直にいって遅い」と苦言を呈したのも当然のことです。同予算案には、公共施設の復興事業、放射性物質の除染などに要する緊急な費用が計上されており、スピード感のある執行を強く望みます。ただ、与野党で既に合意されている「復興庁」の権限や機能について、官僚機構の強い抵抗もあってか内閣・与党内でまとまらず、未だに始動の目途が立っていません。そのため、補正予算案に含まれている各種事業は、従来の”縦割り”の制度のまま計上されています。今後の迅速・効率的な事業実施に強い懸念を抱きます。

 

民主政権の奇怪な復興増税案

内閣と与野党3党間で”復興債”の償還期限と財源手当てのための所得税等の増税期間について合意されました。償還期間については、建設国債(60年)と特例国債(10年)を考えれば、根拠は不明なものの妥当な線だろうと理解します。一方、”復興増税”について最長25年という超長期間としたのは不可解としか言えません。内閣が提案していた2013年から10年間の増税案に比べれば、不透明な経済への悪影響が幾分緩和されたとは思えます。しかし、25年間には日本の経済・社会環境が変化するのは必然であるにも関わらず、その間の増税割合を固定化するのは無意味です。また、通常の国債の発行を特定の財源と結び付けているわけではなく、一時的な多額の支出増を賄う特殊事情のある”復興債”だけことさら財源にこだわる理由もわかりません。むしろ、恒常的な支出である子ども手当や農家戸別所得補償などこそ必要な財源をハッキリさせるべきです。民主党政権の奇怪な財政政策はさっぱり理解できません。

 

国民負担の総合的・抜本的な改革こそ必要

野田内閣は、2013年から社会保障財源に充当することを目的に消費税率10%以上に引上げる方針を打出しています。その際には、国・地方の役割分担や所得再分配も考慮して、所得税や住民税も当然見直されるべきであり、今回の決定は無意味になります。今必要なのは、将来にわたる①経済の活性化と雇用の拡大、②社会保障の安定と所得再分配、③財政の健全化という3つの要素の均衡を考慮した最適な財政支出と国民負担(税と社会保険料)を明らかにする総合的で抜本的な改革です。無意味な”復興増税”に固執するよりも、本質的な議論に早急に着手するべきだと考えます。

 

景気の底割れ阻止に緊急対策を

もう一つの緊急課題は経済政策です。異常な円高・株安によって日本経済はきわめて厳しい状況にあり、先行きも世界経済の動向から見て不透明です。国内産業の空洞化が進む中で、中小企業の経営や雇用が一段と厳しくなっています。短期的な対策として、底割れ阻止のために景気浮揚・雇用維持施策を打出すとともに、一層の金融緩和や積極的・効率的な財政出動などの適切なマクロ経済政策への転換が必要です。

一連の不可解な経済・財政政策は、民主党政権の経済・財政政策の基本に関する理解力やビジョンのなさを物語っているようです。このままでは、日本経済は沈滞し、財政はさらに悪化するという最悪の事態に陥りそうです早急な立て直しを強く求めます。

 

2011年11月15日 (通算420号)