今週の一言(4月4日)増税一辺倒では財政の立直しは達成できない

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日本の財政は危険な領域に近づいている

 平成24年度予算では基礎的財政収支(PB=プライマリー・バランス)が▲22.3兆円(対GDP比▲6.0%)と日本の財政はきわめて深刻です。バブルが崩壊した1990年代以降、財政赤字が拡大し、国・地方合わせた債務残高は2011年度末で894兆円(対GDP比186%)に膨れ上がっています。自公政権下においてPBがかなり改善された時期もありましたが、その後の世界金融危機や民主党政権の無節操な支出増加によって、財政構造は一層悪化しました。直近で財政破綻が起きるという悲観論に与するものではありませんが、このまま放置できない危険な領域に近づいているのは間違いないと思います。

注)基礎的財政収支(PB)…各年度における過去の債務の元利払い(国債費)を除く支出と、公債発行を除いた収入との収支。財政のフローの指標として用いられる。

 

経済成長と歳入・歳出改革による財政立直しを

 したがって、早急に中長期的な財政健全化プランを明らかにする必要があります。内閣は、2020年度以前にPBを黒字化する「財政運営戦略」を一応は提示していますが、具体的な方策はまったく決まっていません。財政を健全な状態に戻すためには、①中長期的な経済成長、②社会保障費増加の抑制を含む支出の抑制・削減、③恒常的支出を賄う安定財源の確保、という3つの目標を同時に達成する必要があると考えます。民主党政権では、上記①と②をほったらかしにして、③のための消費増税だけ進めようとしています。しかし、増税一辺倒では経済の成長力を低下させて、結局は財政の立直しも達成できないことになるのは明らかです。

 

入りを量りて出を制す

 財政悪化の最大の要因は、高齢社会にともなう毎年1兆円を超える社会保障費の増大にあります。こうした恒常的支出を借金で賄うのは健全ではありません。自公政権では、社会保障費の伸びを抑制するさまざまな努力を払いましたが、国民の理解が得難いことは既に実証済みです。今後とも制度の合理化・効率化はめざすものの、相当な増額は避けられないと考えます。したがって、消費増税を含む税制や社会保険料の見直しで安定財源を確保する必要があります。その他の政策的な経費については、費用対効果を厳正に吟味して極力削減していくしかありません。古来「入りを量りて出を制す」と言われているように、あらかじめ税収等の枠組みの目安を定めて、その中で最適な給付・サービスを提供する財政運営を確立することが重要だと考えます。

 

経済成長が不可欠な要素

 財政健全化のために不可欠な要素が経済成長です。経済が成長すれば、税収等が増加する一方、産業・雇用等に要する支出も減少します。また、社会保障制度改革にともなう“痛み”も緩和され、受入れも容易になります。民主党政権による2013年度からの所得・住民・法人増税に継ぐ矢継ぎ早の増税は経済成長の重荷になるものと懸念します。

当然のことながら、経済成長だけで財政健全化が達成できるほど簡単なものではありません。政治的に困難でも歳出・歳入両面からの財政構造改革と合わせて実施していかなければ、十分な効果は上がらないと考えます。