今週の一言(6月20日)社会保障と税の一体改革:三党合意の評価と今後の課題

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国民会議」で議論を深めることは評価

 “社会保障と税の一体改革”について与野党三党が基本合意に達したが、消費税率引き上げを除けば、具体的には何も決まっていないのが実態です。実質的な制度設計の議論のスタート台にようやく立ったところだと理解しています。民主党“マニフェスト”の実現性のない年金や医療政策が事実上白紙に戻され、有識者も含めた「社会保障制度改革国民会議」で一から議論されることになった合意には賛同します。私は、社会保障制度については長期的に安定した制度とするために、“政争の具”にするのではなく、党派を超えて議論を深め、丁寧な合意形成を重ねていくべきであると主張してきましたが、その方向に沿ったものと理解しています。

 

総選挙で改めて民意を問うのが道理

 しかし、肝心の政府・与党の政策が撤回されている現状では、“国民会議”での議論の方向性が定まりません。将来にわたる社会保障の給付・サービスの水準とそれにともなう負担についての大まかな国民のコンセンサスすらないままでは、議論を収斂させていくのは困難だと思います。したがって、速やかに解散総選挙を行い、与野党が社会保障制度と財政のあり方を提示して、改めて国民の審判を仰ぐのが民主主義の道理ではないでしょうか。民主党も与党として、今回は無責任な主張はできないはずです。選挙で示される民意を尊重して、“国民会議”での議論のベースとするべきです。

 

増税実施は経済情勢を見極めて慎重な判断を

 消費税について、2014年度から引上げることで与野党が合意しましたが、景気・雇用への影響が十分に考慮されているのか疑問に感じます。私は、世界的な景気の後退とそれに伴う円高・株安で足下の情勢は依然として厳しく、先行きも不透明だと認識しています。野田内閣のいい加減な財政・金融政策では、景気・雇用の回復・安定は期待できません。2013年度からの“復興増税”のマイナス効果も注視する必要があります。経済が“底割れ”して、取り返しのつかない事態を招くことは絶対に避けなければなりません。経済動向を的確に見極めて、実際に増税を実施するタイミングについては慎重な判断を期待します。

以前から、増大する社会保障費を賄うためには、いずれかの時点で増税が避けられないと率直に申し上げてきたところではありますが、財政と経済の両方を考慮した政策運営が重要だと考えます。

 

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