今週の一言(8月2日)消費増税最終決定は難しい政治判断

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 昨年成立した「税・社会保障一体改革法」で、来年4月から消費税率が8パーセントに引上げる方針が決められました。安倍総理は、「経済情勢などを見極めて秋ごろまでに、予定通り実施するかどうかの最終判断を下す」旨の方針を打出しています。将来にわたり、健全な財政を維持し、社会保障に必要な公費の財源を確保する必要があることは明らかです。しかし、実施時期はきわめて難しい政治決断になるのは間違いありません。

 

自公政権の下景気は着実に回復

 昨年末の自公政権再スタート後の大胆な金融政策と機動的な財政政策によって景気は着実に回復してはいます。本年1-3月期の実質GDP成長率は4.1%となり、その他の各種経済指標も堅調に推移してはいます。直近の完全失業率が3.9%となるなど雇用情勢も改善しています。最終判断の基礎となる4-6月期のデータも好調だろうと予想されています。こうしたデータを見れば、引上げ決定は当然のことのように受止められます。

 

本格的な経済立直りは道半ば

 経済再生に向けての“好い流れ”ができているのは確実ですが、「未だ景気回復が実感できていない」のが現状であり、道半ばであるのは事実です。この時点で、増税を実施することによって、景気の腰を折る危険性は否定できません。政府部内やエコノミストの中に、実施の先送りを提案する方々も多くいます。

 

前のめり過ぎた三党合意

 消費税引上げの実施時期を決めた自・民・公三党合意は“前のめり”過ぎたと、私は考えています。景気が回復に向かっても、それが確実になり、実感できるまでには相当な時間がかかるのは当然であり、復興増税の実施なども考慮すれば、半年から一年程度急ぎ過ぎだと以前から指摘してきました。当時与党であった民主党の主導でまとめた案は、経済動向に対する慎重な洞察が不十分だったと言わざるを得ません。

 

先送りのリスクも大きい 

 一方、この期に及んで先送りすることには大きなリスクがあり、容易ではありません。現状では社会保障費用の多くを国債発行で手当てしており、財源確保を先送りすることは、将来の年金・医療等の安心が損なわれます。また、世界中が日本の財政健全化への取組みを注視しています。先送りすれば、日本は厳しい決断ができないダメな国だと見られかねません。財政に対する信頼が損なわれると、金利上昇等の問題を招き、経済にとってさまざまな悪影響が生じるとの指摘も多くあります。

 私は、財政健全化よりも経済再生を優先する考え方をとっており、半年間先送りすべきだと考えますが、さまざまなリスクを考慮すると慎重に判断せざるを得ません。政府・与党として、利害得失を比較衡量した上で、政治決断を下さなければなりません。