市場・経済関係者は好感
6月24日に、これからの政府・与党の経済政策の基本的な方向性を示す「経済財政運営と改革の基本方針2014」(いわゆる“骨太方針”)、「日本再興戦略・改訂2014」、「規制改革実施計画」の3つの文書が閣議決定されました。これらは、内閣の「経済財政諮問会議」や「産業競争力強化会議」など経済関係閣僚と民間有識者を入れた会議体で原案を作成し、与党での議論を経て成案となりました。海外も含めて市場関係者や経済関係者は、概ね好感していると受止めています。詳しくは首相官邸のホームページをご参照ください。
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/index.html
骨太方針:4つの課題と対応
「骨太方針」は政府の当面の経済財政政策の基本方針を示し、来年度の予算編成や税制改正のベースとなる文書で、毎年この時期に策定しています。本年は、安倍内閣の経済政策の成果について評価するとともに、今後日本のめざす経済社会の未来像を実現するための4つの課題と政策の方向性を記述しています。
4つの課題には、①消費税率引上げにともなう駆け込み需要の反動減への対応、②好循環の拡大、成長戦略の強化・深化、③制度・システム改革の実施、④経済再生・財政健全化の好循環を掲げています。
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2014/item_01.pdf
成長戦略:改革に向けた10の挑戦
「日本再興戦略」は、豊かで活力のある日本経済実現と成長力を強化するために課題と政策を示しています。改訂版では、昨年から引続き検討することとなった健康産業等の分野のほか新たな重要課題も加えて、「改革に向けた10の挑戦」を提示しています。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/
企業の収益力の他先進国並みへの向上、企業が活動しやすい環境づくり、女性や若者の能力発揮など人材の育成・確保をめざす政策などが柱になっています。その中には、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資金運用の改善、法人実効税率の引き下げを含む法人税改革などの事項が含まれています。
本格的な経済再生に実行力が求められている!
これらプランで提起されている事項は重要なものばかりだと思います。これから、政策を具体化していくに当たっては、社会政策上の配慮や関係者の利害調整などが必要であり、決して簡単ではありません。これまでも、小泉政権以来、民主党政権時も含めて9回成長戦略が策定されていますが、実施段階で挫折を繰り返してきました。今政治に求められているのは“実行力”です。改革にはさまざまな“負の影響”が伴うものであり、十分な配慮が必要なのは確かです。例えば、生産性向上のための“働き方の改革”も、労働者の利益を害する危険性を含んでいます。日本経済の本格的な再生をめざして、慎重に検討を行いつつ、迅速に実行していく決意です。