今週の一言(8月4日)法人税制の抜本改革が必要

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高い日本の法人実効税率

 わが国の経済界は長年、企業の国際競争力を向上させるために、世界でもきわめて高率な法人税の実効税率を引下げるよう求めています。政府は、こうした要望を踏まえてこれまで順次税率を引下げ、2014年度では国・地方合わせて34.62%となっています。各国の税制度が異なるために正確な国際比較は困難ですが、アメリカよりは低いものの、欧州主要国よりは若干高く、アジア諸国よりはかなり高いのが実態です。

国・地方合わせた法人税率の国際比較(財務省資料)

(2014年3月現在)

http://www.mof.go.jp/tax_policy/

summary/corporation/084.htm

ヨーロッパ諸国では近年、税率引下げを実行しており、アメリカでも引下げが検討されており、“法人減税競争”の様相を呈しています。

 法人税実効税率が高いことにより、日本企業の海外移転が進むとともに、海外企業の日本への投資を阻害していると指摘されており、ある意味事実だと考えます。

 

政府方針:実効税率の20%台への引下げを決定

 政府では、6月に決定した「日本再興戦略・改訂2014」などで、法人実効税率を数年で20%台に引下げる方針を決定しました。グローバル化が進む中で、国内の成長力を向上し、雇用を創出していくためには必要な措置だと考えます。

 

法人税制の抜本改革が必要

 実効税率を1%引下げると5,000億円程度の税収減があると推計されます。わが国の財政が極めて厳しい中で、代替財源なしに引下げを行うことは不適切です。

 超高齢社会において年金・医療等の社会保障経費が毎年1兆円増額し、その安定財源目的で消費税率の10%への引上げを実行中ですが、それでも十分な財源が確保できるとは言えないのが実情です。今後とも消費税は全額社会保障費に充当するのが当然です。

 したがって、実効税率を引下げるためには、政策減税などを思い切って廃止・縮小する法人税制の抜本改革を実行し、課税ベースの拡大によって財源を手当てする必要があります。

 

中小企業配慮・公平性確保・成長力向上の視点が重要

 法人税抜本改革に当たっては、①地域経済・雇用を支えている中小・小規模企業への過剰な負担とならないこと、②既得権益化しているさまざまな租税特別措置については、業界間・企業間の公平性を確保するために徹底的に見直すこと、③将来的な成長に必要な研究開発や設備投資を抑制しないこと、と言った視点が重要です。これをすべて満たす方法はかなり難しいのが現実です。

 今後、与党税制協議会においても、政府や民間と連携しながら、この難題に対する最適な答えを出すために全力を上げていきます。