【いさむの一言(8月3日)】経済成長なくして財政健全化は達成できない!

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本田悦朗氏を講師に経済・財政政策について議論

7月28日に、公明党経済再生調査会では明治学院大客員教授・内閣官房参与の本田悦朗氏を講師に招き、「アベノミクスの評価と今後の経済・財政政策」についてご意見を伺い、意見交換を行いました。本田氏は、①昨年4月の消費税率の8%への引上げによる深刻な景気後退からようやく回復軌道に戻りつつある、②消費者物価は需給ギャップが縮小しいている一方原油安によって上昇テンポが遅いと解説しました。 “デフレ脱却”はあと一歩というところまできてはいるが、経済再生の成否はこれからが正念場であり、“アベノミクス”の金融・財政政策を継続していくべきとの意見を示しました。こうした現状認識と政策の方向性については、私の考え方と同じです。

なお、本田悦朗氏のプロフィールは以下をご参照ください

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内閣府が経済と財政の見通し試算を発表

内閣府では、2月に決定した「政府経済見通し」を見直した年央試算と財政健全化目標年次である2020年度を視野に入れた財政の試算を公表しました。

GDP成長率については、①雇用・所得環境の改善、②民間消費の回復の遅れ、③企業の設備投資の増加などプラス・マイナス両面最近の動向を取入れて、実質1.5%、名目2.9%に若干上方修正しました。また、財政については、経済成長による税収増と政府支出の抑制の実績等を踏まえて、2020年度の基礎的財政収支の対GDP比の赤字が▲1.6%⇒▲1.0%(実額で▲9.4兆円⇒▲6.2兆円)に上方修正しました。これらの試算は、経済が政府・与党がめざしている方向で改善し、その結果、財政も健全化に向かっていることを明らかにしています。したがって、経済が成長していかなければ財政の健全化は達成できず、先ずは経済成長に主眼を置いた経済・財政運営を行っていくべきであると考えます。

 

引続き経済再生に全力で取組む

 中長期的には、大きな財政赤字が継続すると金利の上昇などを招き、成長の足かせとなる危険性はあります。しかし、財政の健全性を重視しすぎて性急な緊縮財政政策をとると、成長を阻害しかねません。

財政の健全度は、単に財政赤字の大きさだけでなく経済規模に対する割合で評価するべきであり、指標としては基礎的財政収支(プライマリー・バランス)のGDP(国内総生産)に対する比率が使われます。この比率は、分子の基礎的財政収支の赤字縮小だけでなく、分母のGDPの増加によっても改善されていきます。この比率が拡大しつづけて発散してしまえば、財政が破綻に向かいますが、着実に収束に向かっていけば、改善のスピードが多少遅れても重大な懸念はありません。したがって、当面はGDP成長率を向上させる経済・財政政策を実施していくことが適切だと考えます。一方で、政府支出の増加を放置するのではなく、ムダをなくして極力抑制していく必要があるのは当然だと考えます。

 

*注1:基礎的財政収支(プライマリー・バランス)とは、税収・税外収入と、国債費(国債の元本返済や利子の支払いにあてられる費用)を除く歳出との収支のことを表し、その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等でどれだけまかなえているかを示す指標となっています