【いさむの一言(11月9日)】基礎杭のデータ偽装事件で失墜した信頼の回復を!

85

 

杭打ちデータの改ざん・偽装が次々と発覚

 横浜市内のマンションが、基礎杭が支持層に届いていないことが原因で傾く事件が発覚したのにつづき、全国各地で同じ事業者による施工データが改ざん・偽装が次々と明らかになっています。これらの物件で問題が発生しているわけではなく、すぐに危険だというわけもありません。しかし、多くの国民は建築物の安全性への不安を感じ、悪質な背信行為に対して憤りを感じています。基礎は地中にあるため、構造物の完成後に直接チェックすることが困難であるだけに深刻です。

 

業界の信頼関係が損なわれる深刻な事件

 日本では、発注者が各工程を細かく監督するのを省き、個々の施工業者を信頼して任せる“責任施工”が一般的です。発注者は、一定の区切り毎に施工時の写真・データなどを確認し、監理しています。この方式によって監理に要する人員や時間を軽減し、コスト抑制と工期短縮を可能にするものです。

 しかし、これは元請事業者と各工程を担当する下請事業者が、善意に基づき施工・管理を行っているという信頼があってはじめて成立つものです。日本では、個々が仕事に責任を持つ高い職業倫理に基づいています。しかし、一連の事件は相互の信頼関係を揺るがし、建設業の仕事のやり方自体を見直さざるを得なくなりかねない深刻なものです。

 

実態把握と情報公開で安心の回復に努めるべき

 今回の偽装工作が起きた背景として、①基礎杭のデータを完全にとることが難しいという技術的課題、②多少不足していても直ちに安全性を損なうものではないという安直さ、③コスト抑制・工期順守のプレッシャーなどがあったと指摘されています。これらは、関係事業者全体で安全性に対する認識を共有でれば解決できるはずです。問題の本質は、発注者から現場の施工業者まで、責任の所在が曖昧で、個々が責任感を欠いていたことにあるのではないでしょうか。

 国・地方自治体では、国民が安心できるよう、早急に施工管理の実態把握と情報公開に努めるとともに、建設業界の体質の改善を進めていく必要があると考えます。

 なお、国民の疑問と不安に対応するため、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターに相談窓口が設置されています。こちらをクリックして下さい。