【いさむの一言(12月21日)】飲食料品等にかかる消費税率の軽減を決定

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与党税制改正大綱で軽減税率制度導入を決定

 12月16日に、与党税制改正大綱が決定されました。消費税に関しては、酒類・外食を除く飲食料品全般及び定期購読の新聞等について、既に決まっている2017年度からの税率の10%への引上げ時に税率を8%据置く、“軽減税率”制度を導入することが決定しました。

 消費税率引上げが議論されはじめた約5年前から、軽減税率制度の導入を提案してきました。その理由は、①消費税の“逆進性”対策として有効である、②子育て中の中堅所得世帯を含めて負担が軽減される、③消費時に軽減効果がわかりやすく痛税感を緩和する、④透明性・公平感が実感できるからです。

 

軽減税率制度は逆進性緩和に効果が大きい

 消費税には、高所得世帯ほど負担する金額は大きいものの、その所得に占める割合は低くなる逆進性があります。一般に、生活に不可欠な飲食料品等の消費額の総所得額に占める比率は所得が低い世帯ほど高くなります。そこにかかる税負担を軽減することによって、逆進性を緩和する効果があります。

 総務省の家計調査に基づき試算すると、税率が5%から10%に上がることによって、上位20%の高所得世帯(第Ⅴ分位=平均年収1,077万円)では税負担が約18.3万円、年収の1.7%増加します。一方、下位20%の世帯(第Ⅰ分位=平均年収176万円)では約6.0万円、年収の3.4%増加します。飲食料品の税率を8%とすると、税負担の増加額の年収に占める比率は高所得世帯(第Ⅴ分位)で0.2ポイント低下するのに対して低所得世帯(第Ⅰ分位)では0.5ポイント低減されます。軽減税率による恩恵が高所得世帯にも及ぶのは事実ですが、その割合は相対的に小さく、逆進性の緩和に大きな効果があるのは明らかです。

 

中堅所得の子育て世帯の負担も軽減

 また、飲食料品の消費額が大きい中堅所得の子育て世帯などの税負担を軽減するという特長があります。こうした世帯は、税率引上げによる負担増が大きく、生活への影響を最も受けると言えます。しかし、一定の所得があるため各種低所得者施策の恩恵が受けられないため、負担軽減策が必要だと考えます。

 

軽減税率制度は国民の理解を得るためにも必要

 逆進性対策としては、低所得者に限定して現金を直接給付する方が適切だとの意見があります。確かに、限られた数の低所得世帯に給付を行えば、比較的少ない金額で逆進性を緩和する効果が大きいのは事実です。しかし、所得だけでなく資産や家族構成等も考慮しなければ生活実態に合った公平感のある制度となりませんが、それは事実上困難です。また、消費する度に税負担の増加を実感し、“痛税感”があるなどの問題があります。

 消費税は、年金・医療・介護・子育てなどの社会保障政策の財源として重要な役割を果たしていますが、国民の理解を得るためには、納得感や公平感が不可欠であり、そのためにも飲食料品等への軽減税率の適用が必要だと考えます。消費課税の歴史の長いヨーロッパやアメリカのほとんどで軽減税率制度が採用されている理由でしょう。多くのヨーロッパ諸国の複数税率制度は、税率区分も3~4あり、適用対象も複雑であり、さまざまな問題が指摘されているのは事実です。そうした事情も考慮して、できるだけ簡素で、わかりやすい制度としました。