【いさむの一言(5月3日)】違法伐採木材防止のために新法を可決

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【合法木材の利用促進のために新たな法制整備】

先週の衆院農林水産委員会で、議員提案の「合法木材等の流通・利用の促進に関する法律案」が全会一致で可決されました。この法案は、木材および木材加工品や主原料とした製品(家具・紙類等)に合法に伐採された木材を利用していることを明示する新たな登録制度を設けることを通じて、合法木材等の利用を促進し、結果的に違法伐採木材等の流通等を抑止することをめざしたものです。これまで各党間で協議を重ねてきましたが、合意に達し国会に提出されました。

( 法案 )

 

【環境の保護と木材市場の適正化が目的】

政府等の正規の許可を得ていない違法伐採木材は、東南アジア・アフリカ・ブラジル・ロシアなどで多く見られると指摘されています。多くのケースでは、生産国の水源涵養や生物多様性などの環境を破壊しているほか、温室効果ガスの吸収源の減少により地球温暖化の要因となっています。また、低価格の木材等が大量に流入して木材市場が混乱し、我が国を含む世界の林業・林産業に深刻な影響を及ぼしています。さらにその収益が、テロ・ゲリラ組織の資金源になっていることも指摘されており、重大な国際問題となっています。

 

【国際社会として強力な取組み】

違法伐採問題については、1997年のバーミンガム・サミットで取り上げられて以来、その後のG7・G8サミットやAPECなどの国際会議の場において主要なテーマとなってきました。そうした国際動向に基づき、EUや米国では違法伐採木材等の流通・利用を規制する法律を制定してきました。

 

【日本では公共調達での合法性証明を義務付け】

日本では、「グリーン購入法」に基づき、国等の公共機関による木材等の調達については2006年以降、合法性の証明を義務付けています。

林野庁ガイドライン

 

一方、民間については、業界が合法木材等の利用促進に取組んでいますが、法的な裏付けはありません。この法案が成立すれば、これまでの取組みがさらに進展するものと期待できます。そのためには、木材の製造・貿易・流通・加工のほか、建築事業者など幅広い事業者が趣旨を理解し、積極的に協力してもらうことが不可欠です。これからも対策の実効性を上げるために取り組んでまいります。

 

【合法性木材の利用促進が効果的】

一部に、米国やEUで違法木材等の流通・利用を禁止する法律を定めているのに対して、合法木材の利用を促進する法制度では“手ぬるい”との批判があります。
しかし、違法性を確実に証明するのはかなり難しく、欧米で法が適用された事例は数件にすぎず、抑止効果には限界があります。むしろ、合法性が信頼できる木材の流通・利用を促進し、結果的に違法な製品が削減される日本のアプローチの方が現実的であり、長期的には実効性も高いと考えています。また、欧州では域内に木材生産・輸出国があり、信頼性の比較的高い域内貿易が多いのに対して、日本は東南アジア等から大量の木材等を輸入している実情の違いも理解する必要があります。