【今週の一言(10月31日)】TPP協定・対策法案の特別委員会での審議について

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特別委員会で地方公聴会・参考人質疑を実施

 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定と対策法案に関する特別委員会での質疑が10月14日から再開したが、農水相の失言をめぐり民進・共産両党の委員が欠席するなど審議が難航してきました。そうした中でも、これまで26日には北海道と宮崎県で地方公聴会が開催されました。農林業を中心とした中山間地である宮崎県高千穂町での公聴会に参加しましたが、県知事、地元畜産農業者など4名の公述人から意見を伺い、与野党5党の委員が質疑を行いました。(高千穂町こちらをクリックして下さい

 また、3回にわたり有識者を招致しての参考人質疑が行われ、農業・食の安全などさまざまな分野・立場の専門家8名から意見を伺い、質疑を行いました。そのほか、総理が出席しての集中質疑を度々行い協定と対策法案に係る審議はかなり進んできました。

 

協定・対策法案に関係の薄い質疑も多く

 民進党の質問は、提出されているTPP協定・対策法案には直接関係の薄いものも多くなってきました。また、閣僚にかかる政治資金問題や週刊誌記事をネタにした質問も多く、TPP協定について真剣に議論する姿勢があるのでしょうか。これまでにも60時間以上の審議を行ってきましたが、時間をかけて質疑を行っても、議論が深まるのか疑問を禁じ得ません。

 

輸入米SBS問題は本質とは程遠い議論

 民進党委員が盛んに取り上げている輸入米の同時入札制度(SBS)にかかる輸入商社・米穀卸業者間の“調整金”も本質的な問題ではありません。SBS方式による米の輸入は、ガット・ウルグアイ・ラウンド合意に基づき2009年からはじまった制度です。国内の米市場は年間8百万トン超ですが、SBSで主食用の輸入枠は10万トンで、半分以上の年度では枠が消化されていません。1%未満の輸入米が国内の米価格に大きな影響を及ぼすことは考えられず、現にSBS入札が実施された前後で平均価格はほとんど変化していません。TPP協定では、13年間かけて新たに5~8万トンのSBS枠が追加されることで合意されていますが、政府による対策を含めて国内の米需給に大きな影響があるとは考えられません。

 

TPPで食の安全に関する制度変更はない

 TPP協定で“食の安全”制度の変更を懸念する質疑も多くありますが、日本の輸入農産物・食品の衛生・検疫、国内の食品安全基準、食品表示制度の変更を求めるような内容は含まれていません。既に締結してきた世界貿易機関(WTO)協定などに準拠するほか、新たに規制を強化する場合には、科学的根拠に基づくものであるべきこと、関係国には対応が十分できる期間を設定することなどを定めています。

 ただし、現行の「食品衛生法」や「食品表示法」のルールが、近年輸入されている農産物・食品の実態に対応できていないとの指摘については、十分に検討していく必要があると考えています。例えば、加工食品の材料の原産国表示の拡大については、現在、政府・与党で検討をはじめています。また、家畜に使用されるホルモン剤や薬品の安全性の確認や食肉等での検査方法に関する研究は進めていくべきだと考えます。

 TPP協定の内容の詳細については、内閣官房TPP対策本部のウェッブサイトをご参照ください。

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