【いさむの一言(6月4日)】空家問題は高齢社会の重大な課題

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着実に進む人口減少と高齢化

 日本の人口は2008年をピークに減少が始まっています。2015年の国勢調査では総人口は1.27億人ですが、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2053年には1億人を割ると予想されています。また、少子高齢化が一層進み、高齢者が増加し続ける方で、生産年齢人口は、2015年の7.7千万人から2050年頃には5千万人台半ばになります。

 

空家は全国で820万戸、都市部でも増加

 人口減少・高齢化の進行は、経済活動や社会保障制度など、さまざまな方面に大きな影響を及ぼします。その中で近年、懸念が高まっているのが“空家問題”です。
 国土交通省の2013年の調査では、全国で820万戸、全住宅の13.5%が空家になっています。従来は過疎地などの問題と考えられがちでしたが、三大都市圏でも空家率が12%を超え、もはや地方特有の問題ではありません。その中でも、長期不在や賃貸・売却の予定がない空家が318万戸であり、この20年間で倍増しています。

 

空家の増加は地域社会にとって深刻な脅威

 空家の増加は、①災害時の倒壊等や火災発生、②侵入者による犯罪等の温床、③ごみの不法投棄や害獣・害虫の発生、④雑草、落ち葉、木の枝の越境などの危険性があります。地域社会の安全・安心にとって深刻な脅威になりつつあり、地元の自治会などからも度々懸念の声を伺います。

 

特措法で空家の撤去・有効活用を促進

 国でも空家問題を深刻に受け止め、2014年には「空家等対策の推進に関する特別措置法」が成立しました。市町村が空家対策に関する基本計画を策定し、空家・跡地に関する情報収集や利活用に努めるとともに、特に安全・衛生面で深刻な影響が及ぶものについては最終的には建物除去や立木伐採などを強制的に執行できることになっています。また、空家の撤去や跡地の流通等を誘導する税制措置の導入も定められています。

 

緊急に対策の強化が必要

 私有財産である空家に対して、行政が財産権を侵害することには法的な制約があります。また、本来は持主が負担すべき処分等の費用に公費を投入することにも法的な問題があります。また、空家は一か所にまとまっているわけではなく、“虫食い的”に発生します。行政としては、現在進めている個々の空家の発生防止や除去・利活用等の諸施策を強化するほかに、空家を含めた地域の一体的な再開発などを通じた解消策を進めていく必要があると考えます。また、不動産事業者など民間のノウハウを活用して、商業ベースで空家・跡地の流通・貸借が進む施策を導入していくべきだと考えます。