【いさむの一言(12月10日)】新たな外国人材受入れ制度は漸進的に整備するべき

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深刻な人手不足への対応が必要

 臨時国会で、一定の技能を要する業務に従事する外国人労働者の受入れを認める「出入国管理及び難民認定法」の改正案が成立しました。ここ数年、労働力需要の増加と生産年齢人口の減少があいまって、介護・建設・農業等の分野で人手不足が深刻になり、産業界からは、外国からの人材の受入れ拡大の要望が高まってきました。このままでは、今後5年間で130万人程度の労働力が不足すると見込まれており、経済社会の安定した成長を確保することが法改正の目的です。

これまでの外国人材受入れ方針の転換

 日本では、高度な専門性や技術を有する外国人材の受入れを積極的に推進する一方、それ以外は原則認めていません。例外として、日本国内で、一定の技能の習得を目的とした「技能実習制度」、ASEANとの経済連携協定に基づく看護師・介護福祉士候補者等の「特定活動」、留学生等が学費・生活費を補うための短時間労働を認めてきました。現在、外国人労働者数は約128万人で、5年間で約1.5倍に増加しています。今回の法改正は、従来の基本的な考え方を転換して、特に不足している技能労働者にまで拡大するものです。政府の試算では、今後5年間で最大34.5万人程度の受入れが見込まれています。しかし働く分野を限定し、一定の能力などの要件を条件としており全面的な開放や、いわゆる「移民政策」とは性質を異にするものです。

 

具体的な制度内容は今後決定していく

 今回の改正法が、検討不足で具体的な内容が不明確であるとの指摘がありますが、そうした意見には妥当な面がることは否めません。受入れの「基本方針」やそれに基づく分野の選定、審査基準等の手続き、支援策などは今後政府が政省令で定めることになっています。日本では、これまで外国からの労働者受入れの経験が少なく、現時点で詳細に内容を決めることができないのは止むを得ないと考えます。また、現在の「技能実習」に関わる問題等も指摘されており、改善が必要であるのは当然です。

 

段階的な制度の整備・拡充が適切

 他方、労働力不足は深刻さを増しており、緊急に対応する必要があります。新たな受入れ制度を創設することによってはじめて、労働力の需要と供給の予測も具体的になり、課題や対策も明らかになってきます。長期的には、新たな外国人材の受入れは必要だと考えます。先ずは、今回の改正に基づき限定的に実施し、そこで明らかになる課題等に対処するため、制度を順次整備して段階的に拡充していくことが適切ではないでしょうか。試行錯誤しながら、世界と共生、成長する日本社会を創っていかなければなりません。