【いさむの一言(5月20日)】今後の景気動向に細心の注意が必要

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世界経済の動向が下振れリスクに

 日本経済は、雇用の改善や消費の増加など堅調に回復してきましたが、このところ中国をはじめとする世界経済が停滞している影響を受けて、輸出や生産が弱含んでいます。米中間の貿易摩擦の行方など海外発の下振れリスクがあるほか秋には消費税率の引き上げも予定されており、今後の景気動向について細心の注意を払っていかなければなりません。景気が後退することがないように、個人消費や設備投資など十分な内需を確保していくことが重要です。
 政府の経済財政諮問会議でも、民間有識者や安倍総理から景気動向に留意していくことが必要であるとの発言が出ています。(第1回経済財政諮問会議)

 

消費拡大のカギは賃上げの継続

 国内GDPの6割を占める個人消費を増加させていくためには、ここ数年つづいている賃上げの流れを継続的なものにしていかなければなりません。今後とも、政府・与党として、産業界に働きかけを続けるとともに、実施しやすい環境整備に努めていくべきです。

 

最低賃金の着実な引上げは有効

賃上げは基本的に労使間で決定されるものですが、最低賃金は政府が直接関与できる唯一の仕組みです。パート労働者等だけでなく賃金体系全体を底上げする効果があり、消費をはじめとする需要の拡大に貢献するほか、賃上げや物価上昇の「期待感」を高める効果があると言われています。現在、政府では全国加重平均で1,000円を早期に達成することをめざしていますが、今年度も着実な引上げを実施するべきだと考えます。

 

中小企業等の労働生産性向上への支援が必要

 賃上げが最も困難なのが、雇用の7割を占める中小企業・小規模事業者です。一方、人手不足が深刻化する中で、有能な人材を確保していくためには、賃金を含めた労働条件の改善が不可欠です。それを達成するためには労働生産性の向上が必要であり、政府・与党として、①デジタル化、自動化・省力化を進めるための設備投資、②人材確保のための中途採用や短時間労働者の就業への支援、③雇用保険の保険料軽減や賃上げ促進税制の拡充、④下請取引条件の適正化などの施策を強化していき必要があります。

 

消費税率引上げにも万全の対応が必要

 10月に予定されている消費税率引上げによって個人消費や住宅投資が減退する懸念があります。引上げ幅は2パーセントで飲食料品は据置きであることから実質は約1.5%と前回引上げ時に比べて影響は半分程度です。また、幼児教育無償化など教育費の負担軽減等による家計への還元やプレミアム付き商品券や自動車・耐久消費財などに係る対策などが2019年度予算に盛り込まれています。「消費者心理」も含めて影響を最小限に抑えることが重要であり、対策の着実な周知と実施が必要です。また、引上げ実施について、最近の景気動向の不透明さを踏まえて、再度、調査分析を行い慎重に検討するべきだと考えます。