【いさむの一言(12月2日)】最低賃金の引上げは経済の好循環につながる

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デービッド・アトキンソン氏から意見を伺う

 先週、公明党経済再生調査会等の合同会議を開催し、日本経済の成長力向上に関し数多くの著作のある(株)小西美術工藝社社長デービッド・アトキンソン氏を講師に招き、中小企業等の生産性の向上についての提言を伺いました。David Mark Atkinson氏

人口減少社会で経済成長を達成するには生産性向上が必須

 今後20年間で、生産年齢人口(15~64歳)は1千5百万人(21%)以上減少することが予想されています。そうした中で経済成長を達成していくためには、生産性の大幅な向上、特に中小・小規模企業の生産性向上が必要です。日本の一人当たり労働生産性は、日本生産性本部が発表している国際比較では、先進国等で構成されるOECDに加盟する31か国中20位となっているのが現状です。労働生産性の国際比較
 アトキンソン氏は、生産性とさまざまな指標との相関性を分析した結果、①中小企業等の経営統合・合併による規模拡大及び②最低賃金の引上げ等を通じた雇用者賃金の上昇が必要であると提案しています。

最低賃金の漸進的な引上げを続けるべき

 世界各国を比較すると、最低賃金が高いほど労働生産性が高いという相関性があります。これは、①賃金上昇に応じて企業が設備投資等の増加や経営を効率化すること、②生産性の高い産業・企業への労働者の移動が促進されること等が要因だと考えられています。日本の最低賃金は主要先進国に比べて低いのが実情です。
 自公連立政権では、年率3%程度の最低賃金の引上げを実行し、本年度は5年前に比べて、全国加重平均で15.5%上昇しました。今後、年率5%程度の引上げを継続的に実施していくべきであると考えます。政策的に最低賃金を引上げることは、賃金水準全般の底上げにつながると期待されます。

企業経営の悪化や失業が増加するのか

 最低賃金を引上げると中小・小規模企業の倒産や経営悪化が増えて、失業者が急増するとの慎重な意見があります。確かに韓国のようにいきなり30%も引上げるとそうした危険性はありますので、あくまで、中小企業等が対応できるように計画的・漸進的に実施していくことが重要です。また、労働力が過剰な状況では雇用確保の意義が大きいと考えますが、現在はむしろ労働力不足が深刻になっています。最低賃金引上げを通じて、経営の効率化と生産性向上が促されるとともに、賃金体系全体の改善につながるものと考えます。その結果、国民所得の上昇により消費が拡大し、経済の好循環が期待できます。